【患者様編】”訪問歯科診療” 今後の人生をより良く過ごすために
目次
訪問歯科診療とは
「訪問歯科診療」って?
どんなことするの? 誰でも利用できるの? 高いの? 交通費はかかるの?
どこへお願いすればいいの?
実際は?
様々な疑問や不安が存在しますが、訪問歯科の現場を患者さん目線(家族目線)で
1つひとつひも解いていきましょう!
本記事の内容はあくまでも経験談です。
取捨選択の程よろしくお願い致します。
訪問歯科って、ある日突然必要になるので、多くの方々の認知度は低く、訪問歯科の存在さえ知らないで過ごしてしまうケースも少なくないでしょう。
病気になり、訪問歯科が必要になることが多いですが、お元気な内に、お口の中をキレイに整理しておくことも重要です。
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ここに訪れていただいた方は、
◆これから訪問歯科に依頼をしたくて現在リサーチ中の方
◆今後、訪問歯科が必要になるかも、と事前準備をしている方
◆ええっ、訪問歯科なんてあったの?って、いま気付いていただいた方
◆私も訪問歯科で働いてみたい!と思われた歯科医療従事者の方
などなど、「訪問歯科診療経験者」として、様々な角度からお伝えしていきます♬
①訪問歯科診療とは・・・
歯科医師、歯科衛生士、歯科助手等が、ご自宅や施設、病院等に、歯科診療に来てくれることを言います。
「わざわざ来ていただく」なんて、思わないでください。
「訪問専門」で開業している歯科医院もあるくらいですので。
交通費は、いただいていない歯科医院がほとんどですので、
ぜひ、依頼してみてはいかがでしょうか。
通院時間が不要となり、家事や用事が済ませられる。
またはホッと一息をつける時間があれば、どんなに心身共にゆとりが持てることでしょうか。
介護するご家族の負担を軽減することも大切なことなんです。
訪問歯科診療とは、どんなものか!
では、まず初めに様々な「訪問歯科診療」とは、なにか!についてお話ししていきます。
◆歯科医院から、自宅、高齢者施設、病院等へ、訪問診療に来てくれる
訪問:患者の求めに応じ、継続的、計画的に患者の自宅等を訪問して診療、処置、療養指導等をお
こなうこと
往診:突発的な疾患がおこり、病院等へ行けない時に患者宅で応急的な診療、処置等を
おこなうこと
訪問 と 往診 は、上記のようにすみ分けされています。
♬ほぼ、院内と同じ内容で診療ができる
♬ 対象者は、疾病や傷病により通院困難な方
♬ 訪問診療をおこなえる範囲は、訪問診療をおこなう歯科医院から半径16Km以内となります。
♬ 訪問歯科診療にかかる交通費は、一般的には請求していない歯科医院が多いです。
(個人的には交通費を請求している歯科医院に出会ったことはないですね)
訪問先では、どんなことをやってもらえるの?
次に、「訪問歯科診療」って、どんなことをやってくれるの?
◆ 治療(抜歯、むし歯、入れ歯など)
入れ歯の調整、入れ歯の修理、入れ歯の作成
◆ 口腔ケア(歯みがき、歯垢除去、入れ歯洗浄、粘膜清拭など)
◆ 摂食嚥下リハビリテーション(食べる機能の改善、維持)
◆ 嚥下内視鏡検査 VE(内視鏡を鼻から挿入し、飲み込む機能の検査)
◆ 嚥下体操(誤嚥性肺炎予防の食事前のお口の体操等)
◆ ミールラウンド(食事の観察による、食形態の評価、姿勢、量、速さのチェックなど)
少し前までは、治療だけの歯科医院が多いようでしたが、
口腔ケアが重要であることが浸透し、口腔ケアをメインにする歯科医院も増えてきました。
最近では、摂食嚥下リハビリテーションや嚥下内視鏡検査など、かなりクオリティの高い訪問歯科診療を行う歯科医院が増えてきて、訪問先からの需要も高く、患者さんからの評価も高く、もはや摂食嚥下が出来る歯科医院が主流の時代に突入しています。
訪問歯科診療内容の詳細について
抜歯、むし歯、入れ歯など、基本的な治療は一通りおこなえます。
歯が抜けてしまって気管や肺に入る前に、ぐらぐら揺れている時に処置もします。
入れ歯は、痛みを感じていたり、合っていないようでしたら、遠慮なく伝えるようにしてください。結構、我慢して使っていたり、諦めてしまっている方がおられました。
②どんな感じで診療しているの?
★在宅患者さんの場合は、自宅に赴き診療を始めていきます。その際に、「お礼」や「お茶」など
は、必要ございません。よくお茶などをお出しいただくケースがあるのですが、次の訪問先も控
えておりますので、お気持ちだけ頂戴致します。
★施設や病院(自宅)では、各お部屋(病室)に伺います。その際、すぐに診療を始めるのではな
く、今日のお天気や時事ネタ、お子様やお孫様などの世間話をします。
お話しされることを楽しみにしていますので、時間を取るようにしています。
緊張をほぐし、肩の力も抜け、診療できます。(歯科医院による)
脱感作と言って、指先からモミモミとほぐしていき、
手のひら → 腕 → 肩 → 首 → 頬 → 口輪筋(こうりんきん)と
お口から遠いところから始まり、
徐々にお口に近づいていくように、マッサージをしてリラックスしていただきます。
★ケア中も、必ずお声掛けをしながらケアをしていきます。
痛いところはないですか? 入れ歯の調子はどうですか? キレイに磨けていますね!
今朝は何を食べましたか? 今日のおやつは何ですか? などなど。
寝たきりの方で意思疎通が難しい方であっても、同様に必ずお声掛けをしながらケアをします。
たとえ意思疎通ができない状態でも、耳は聞こえていて、頭で理解していることを前提に、人と
しての尊厳を持ってケアをします。
★入室時や退室時にはしっかりとご挨拶をさせていただき、ご家族やキーパーソンの方がいらっし
ゃれば、その場でご報告し、これまでのご様子や経緯などもご報告しています。
★基本的には、継続的な口腔ケアがメインですが、治療が必要な場合は必ずキーパーソンの方へご
連絡し、状態をご報告して、ご承認いただいてから治療を致します。
★突発的にお痛み等が出たがキーパーソンと連絡がつかない時などは、最低限の応急処置をするよ
うにしています。連絡がつかないからと、そのまま放置をしたりは決していたしません。その際
も、施設の責任者や看護師さんへのご相談は致しております。
逆に、連絡もしないで治療を進めるようなことは一切ありません。
※和やかに患者さんのことを想い考え診療をしていますので、週に1度歯医者さんが来るのを心待
ちにしてくださる方が多いです。
まるでご自身の娘さんやお孫さん、お嫁さんが来るかのように心待ちしてくださっています。
注意:全ての歯科医院の訪問歯科診療が上記ではありません。
訪問歯科の依頼はどうやるの?
いくつかの方法がありますので、ご紹介します。
①ご自身のかかりつけの歯科医院が訪問をやっていれば相談してみる。
②入居している施設や、入院先の地域連携室や看護師さんに相談してみる
③ネットで調べて相談してみる
②ですが元々、施設や病院に訪問に来ている歯科医院しか認めてくださらない施設や病院がありますが、今の時代は決まった歯科医院のみではなく、患者さんのかかりつけ医や、患者さんが気に入っている歯科医院でも了承している所が多くなってきていますので、一度ご相談されることをお薦めします。
訪問歯科診療内容の詳細について
◆無料歯科検診
一番初めに「無料歯科検診」として、口腔内のチェック、確認をします。もちろん、痛みや急を要する場合については、治療の同意があればすぐに治療を開始します。
新規に施設に入居する時など、お口の中を拝見し、状態の確認、義歯の有無や治療の必要性や、嚥下の状態などをチェックし、その結果をご本人やご家族にお伝えし、訪問歯科を依頼するかをご判断していただきます。
これは、ご本人にとっても、入居する施設にとっても、口腔内を把握することはとても重要なことなので、訪問歯科を申し込む、申し込まない、にかかわらずに「無料歯科検診」ですので、ぜひ受けることをお薦めします。
基本的には、毎週1度の訪問になりますが、隔週で申し込む方などもいらっしゃいます。
できるだけ週に1度を受けられることが推奨されています。
さらには、厚生労働省の「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」において要介護状
態にあり、通常の歯科健診を自ら受診できない高齢者に対しての訪問歯科健診が実施された結果と
して、歯科医療費は上がるも、医科医療費は下がり、歯科医療費と医科医療費を足した合計の全体
の医療費も削減された結果が出た、とありました。
◆訪問診療の申し込み
無料歯科検診の結果に基づき訪問歯科を依頼する場合、訪問歯科診療の申し込みをおこないます。歯科医院によっては様々な形式や書式があるかと思いますが、申し込みは必要です。
※複雑に多くの書類に記入、捺印等を必要とする歯科医院から
要所を押さえてご家族の負担を極力なくすようにしている歯科医院もあります。
◆保険証等の提出
・健康保険証(医療保険証、後期高齢者医療費被保険者証など)
・介護保険証
・介護保険負担割合証
・医療費受給者証(地域や病状によって様々な種類がある)
・指定難病医療受給者証(適応される場合があります)
・生活保護にも対応しています
・診療情報提供書(サマリー、既往歴など)
・薬剤情報
・その他
※自宅や入居先によって、必要なものが変わりますので、確認が必要です。
※施設等に保険証を預けている場合は、施設等からいただくことも可能です。
※専属の事務員さんがいる歯科医院では、事細かく対応してくださいます。
※詳しくは、歯科医院にお尋ねください。
◆訪問歯科診療開始
毎週、決まった曜日の決まった時間に訪問に来てくれます。
さぁ、いよいよ訪問歯科診療の開始になりました!
一般的には、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手(コーディネーター等)の3名で訪問することが多いと言われていますが、診療人数によっては大勢の訪問チームで来ている歯科医院もあります。
知る所では、歯科医師3名、歯科衛生士10名ほどのチームで来ているところもありました。人数が多い歯科医院は、しっかりと訪問歯科をやっておられるだろうと感じますし、それだけの人数で来るってことは、それだけの評価、実績があるとも言えるのではないでしょうか。
とは言え、少人数だから良い歯科医療を提供できない訳でもありませんし、逆に大人数でも良い歯科医療を提供できているかはわかりません。
施設や病院では、いま来ている訪問歯科さんを見てみるのも重要ですね。看護師さんや介護士さんは、その歯科医院の評判をよく知っているはずです。
④支払いはどうなっているの?
お支払いについても様々な方法があり、一般的には月締めで請求されるケースが多いと思います。
★請求書が送られて(手渡し)、決まった時期に現金で支払う
★口座振替で、銀行口座より引落ちる(これは便利ですね)
★コンビニ等での支払い
★銀行振込み
※口座振替をしている歯科医院さんは、介護をされているご家族のこともよく考えていて、極力ご
負担にならないように、様々なことを取り入れていますね。
⑤報告などはあるの?
報告についても様々な方法や、報告がないところもあるようです。
毎回の診療時の記録(その日のご様子やお伝え事項)を記載した用紙を、請求書と一緒に同
封して郵送してくれます。
その際に、治療やケアをした内容だけではなく、「その日のご様子」「お話した内容」「喜んでくださったこと」「嬉しい出来事をお話しくださった」など、ちょっとしたことを書いてくれている歯科医院さんもあります。
あと、治療の前後にはお電話でしっかりと説明や報告をしてくれます。
※歯医者さんにも悩みがあり、ご家族がお忙しいかと、とても気を使って手短に話してしまうこと
もありますが、お時間があるようでしたら、なんでも相談したり質問してもらって大丈夫です。
⑥途中でも止めることはできるの?
もちろん、いかなる時でも止めることは可能です。
治療中でも同様ですが、途中までの状態になっていますので、その点をご了承いただければ大丈夫です。
合う、合わないもあるだろうし、接遇が悪い場合もあるだろうし、様々な理由がありますので、遠慮なく中止を申し出ていただいて大丈夫です。
⑦保険証関係について
似たような保険証が数多くあります。
・はじめて大病を患ったり
・はじめて介護にお世話になったり
・介護保険証、負担者割合など
・難病医療証、身体障がい者手帳、原爆手帳、
などなど、自治体によって様々なものがありますので、取り合えず全部見せる(渡す)が一番良いです!
歯医者さんも珍しいものですと、わからない、気付かないことがありますし、やはり訪問に
力を入れて診療している歯科医院さんでしたら、全て把握していますが、先出の様に珍しい
場合は、どうしても気付かないことがあるかもしれません。
⑧まとめ
・慌ただしく口腔ケアをするのではなく、尊厳を持ってリラックスに努め診療している
・口腔ケアで誤嚥性肺炎予防
・摂食嚥下リハビリテーションをおこなってくれる
・嚥下内視鏡(VE)で飲み込みの検査ができる
・食事前の嚥下体操をおこなっている
・食事中のミールラウンド(食事観察)をおこなっている
・脱感作でリラックスしていただきケアをおこなっている
・お声掛けしながらのケア
・意思疎通のできない方にも、しっかりとお声掛けをしている
・勝手に治療をしない、進めない
・家族やキーパーソンに報告がある
・無料歯科検診は、訪問歯科依頼をしなくても受けておく方が良い
・保険証関係は、歯科医院に全て確認してもらう
・痛いところなどは、妥協せずにしっかりと何度でも言う
と言うことで、
訪問歯科診療を一歩踏み込んだ目線でまとめてみました。
ご参考までに。
⑨最後に
記載した内容の全てが正解というわけではなく一例であり、全ての訪問歯科診療が、この内容に沿うものでもありません。
管理者が、見て、体験して、良かったことをご紹介したものですので、どうか取捨選択の程、よろしくお願いいたします。
これからまだまだ数多くの投稿を予定していますので、ご興味がある方は末永くお付き合いくださいますよう、よろしくお願い致します。
訪問歯科医院選びの「参考」になればと思います。
正確な情報や診療内容については、専門職である歯科医院のサイトにてご確認くださいますようお願いいたします。