【患者様編】”訪問歯科診療” 今後の人生をより良く過ごすために
目次
入れ歯(義歯)について
今回は、入れ歯(義歯)についてお話ししていきます。
皆さんは、入れ歯のイメージってどんな感じでしょうか?
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今や、高齢者施設での一番の楽しみが「食事」であります。
まずは、お元気な内にご自身のお口の中のチェックをしておきたいところです。
入れ歯の現状
訪問歯科での入れ歯では、なかなか複雑な問題が多発しています。
・入れ歯を作ったが使わない
・入れ歯を作ってよく食べられるようになった
・汚れがひどい
・無歯顎(歯が1本もない)でご飯を食べている
・入れ歯がなくなる
などなど、いくらでも出てくるのが入れ歯の問題です。
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入れ歯を作ったが使わない
結構、あります!
歯医者さん的には、義歯を作って噛めるように、食べられるようにすることで、
栄養も付き、元気も出てくるのですごくお薦めしています。
さらには、噛むことで脳を刺激し、認知症予防にも繋がると言われています。
ですが、問題が多々あります!
ここでの問題ですが、
・入れ歯を作る時の型取りがキチンとできていない(身体状況などにより動いてしまう)
・入れ歯の噛み合わせや、歯茎に当たる部分などが調整出来ていない
・単に、異物のように感じ、慣れないので使わない
・慣れるまでに時間がかかるので、その間に断念する
・痛い、すぐはずれる、美味しく感じない
などなど、ここでも数えだすとキリがないほど出てきます。
この時に、ご本人の努力やご家族の協力も必要不可欠なんです。
そして、痛みや違和感があれば、遠慮なく何回でも歯医者さんに言ってください。
ここで、言いづらかったりで言わずに諦めて使わなくなるケースを見てきました。
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もちろん、歯医者さんの技量にもよる所はありますが、入れ歯を作って、しっかり使うことが、
今後の人生をも左右します。
「フレイル」といって、栄養が不足してくると全身の筋肉が落ちてきて、気力も失われてきて、
するとさらに食べなくなり、悪循環に陥ってしまいます。
関連:【患者様編】教えて!!! フレイルって?!(作成中)
入れ歯を作ってよく食べられるようになった
本来は「入れ歯を作ってよく食べられるようになった」こうあるべきですし、
歯科の先生方も皆、良くなってもらいたくて、喜んでもらいたくて、
日々一生懸命に訪問歯科に携わっています。
食べることが好きで食べにくかったけど、毎日いっぱい食べてますよ!なんて声を聴くと
嬉しい限りです!
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また、「顔貌」と言って、入れ歯を入れることで、若々しく見えるようになります。
特に女性の方はお気にされていることが多く、入れ歯に対しては前向きです。
事例
◆胃ろうの方でお口から食事が取れず、お腹に穴をあけて胃からの栄養補給をしており、
経口摂取はしていませんが、顔貌を気にされ入れ歯を作って、
大変喜ばれたと聞いたことがあります。
◆入れ歯を作成中のご主人がお亡くなりになり、出来上がってきた入れ歯をはめて
奥様がこの様に仰った。
「うちの主人ハンサムでしょ」と。
義歯を入れていると、顔貌(お顔の表情)が全く変わってきます。
特に、女性は若々しく見えます。(男性も)
また、食事の時は義歯を使わないという方も、通院の際などには義歯をつけて
お顔の表情を気にされている方もおられました。
入れ歯は、「食べる」だけのための物ではなく、様々な作用、効果もあり、
キレイでいたい や、その方の想い出の一部になっていたりと、
「食べる」ためだけではなく、すごく重要な役目も担っていました。
汚れがひどい
これもよくあります!
・市販されている「入れ歯洗浄剤」に、漬けておけば良いと思っている
・きちんと洗えていない
・入れ歯に歯石がついている(入れ歯にも歯石はつくんです)
・カビが生えている
・入れ歯を数年はずしたことがない!
・入れ歯だと初めて知った・・・
などなど、驚くような状態が普通にあります。
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入れ歯は、「入れ歯専用ブラシ」と「入れ歯専用泡洗浄剤」などで、
しっかりと食べかすやヌメリが無くなるまで磨き、
それから入れ歯洗浄剤に浸けておくのが正しいやり方です。(ぬるま湯で5分)
参考:入れ歯(義歯)のケア方法 (公財)ライオン歯科衛生研究所より引用
歯が無い状態でご飯を食べている
驚きの事実なのですが、入れ歯をはめずに普通にお食事をされているケースが多々あり、
しかもそれが当たり前で、
新しく入れ歯を作成する提案が「悪い」ようなイメージを持たれていることも、
非常に多いケースでした。
・入れ歯が無いほうが食べやすい
・もう何十年も入れ歯無しで食べてます
・入れ歯が合ってない、痛いから使わない
・入れ歯がすぐにはずれる
・歯ぐきで食べてますから
などなど、こちらも驚くような状況をよく耳にします。
誤嚥や窒息の原因になり、非常にリスクが高いんです。
しっかりと咀嚼ができず飲み込んでしまっていたり、
歯茎で食べるからミキサー食やきざみ食になっていたりと・・・
入れ歯を使ってない原因は、患者さんや歯科側にも原因があるかと思いますが、
歯科が高齢者施設で入れ歯を作る提案をすると、施設の職員さんや看護師さんから
「今まで入れ歯無しで食べてるのに、今さら必要ありません!本人もいらないと言っています!」
と、言い寄られるケースが多々あります。
挙句の果てには、
「歯科が儲けたいからだ!」の様に思われてしまうことが、一番辛いです。
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入れ歯がなくなる
入れ歯が無くなるケースも、本当に多いです。
特に認知症患者さんなどは、誤って捨ててしまったり、トイレに流してしまうケースがあります。
入れ歯には、入れ歯を作成した際に名前を入れてくださる技工所さんが多いので、
誰の入れ歯かわからなくなるケースは減少しています。
無くなってしまって新たに作成する時に、認知症になっていたりすると、
入れ歯を作る際の「型取り」も正確に採ることが難しくなります。
「型取り」する印象材を「異物」と思い吐き出したり、舌で触ったり、顎を動かしたりと、
我慢する数分が、高齢者には辛いんです。
そんな中で歯医者さんは、
一生懸命に入れ歯を作成しようとしていますので、ご家族さんのご協力や、
高齢者施設職員さんのご協力が、何より心強いサポートなんです。
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入れ歯の作製
入れ歯を新しく作成することもできます。
割れてしまった入れ歯は、すぐに新しいものではなく、今までお使いの物の方が慣れもあり
使いやすいかと思いますので、まずは修理をお薦めします。
それでもダメなら作成していきます。
入れ歯はお口の状態の変化で、合わなくなってくることが多いので、調整もすぐにできますので、
遠慮などなさらずに、何度でも具合の悪い箇所をいってください。
※先生に申し訳ない!と思って、「大丈夫です」と仰ってくださる方を沢山見てきましたが、
本当に遠慮なく仰っていただくことが、双方にとって良いことです。
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新しく買ってきた靴や革靴なんかと一緒で、靴擦れしたりすることが、
入れ歯でも同じことが起きていますので、慣れることが必要なのと、
入れ歯は歯医者さんが「調整」してくれますので、
遠慮せずに「痛いところ」や「違和感があるところ」などを、
しっかりとご遠慮なさらずお伝えください。
※お元気な内に、今の状況にあった入れ歯を作ることをお薦めします。
なぜなら、
お身体の状態が悪化してからや、認知症になってからでは、
ちゃんとした入れ歯を作ることが難しくなります。
それは、型取りをする際に、じっとできなかったり、我慢できなかったり、異物と勘違いしたり、
と、なかなか上手くできないことが多々あります。
※一度割れてしまった入れ歯を修理して使えるようにはなりますが、
どうしても一度割れてしまったものですので、再び割れることもシバシバありますので、
その際は作り直しをした方が良いですね。
新しく入れ歯を作成することになったら、今まで使っていたものとは別物なので、
違和感があったり、しっくりとこなかったりしますので、慣れる時間が必要です。
患者さんは「こんなはずじゃなかった」と思ってしまう
そして、先生に言いづらく(合ってないことや痛いこと)、
義歯をはめることが徐々に少なくなってくる
そんなことはお構いなく、ハッキリと仰っていただくことが、歯医者さんも理解しやすいですし、
早く慣れることにも繋がります!
諦めてしまわず、今後のためにも慣れていきましょう!
歯医者さんが入れ歯作成を薦める理由 誤解と効果
訪問先で入れ歯が無かったり、古すぎて全然合ってない患者さんに出会うと、
どうしても入れ歯の作製や調整をお薦めします。
なぜなら、お勉強をされている歯科の先生方は、身をもって経験されていたり、
学会で学んできたりされています。
◆ 入れ歯の大切
◆ 噛むことの大切さ
◆ 噛み合わせの大切さ
◆ 食べることの大切さ
◆ 咀嚼、食塊形成の大切さ
◆ 栄養
◆ 高齢者施設での楽しみの第1位=食事
などなど、食べることで全身に及ぼす影響も多く、「フレイル※」予防になり、
今後の人生を、少しでもよりよく過ごしていただきたいとの想いがあります。
※フレイル:筋力や心身の活力が低下した状態
関連:【患者様編】教えて!!! フレイルって?!(作成中)
![](https://houmon-shika.net/wp-content/uploads/2021/04/2076930_s.jpg)
ちゃんとした入れ歯を作成し、しっかりとご飯を食べて欲しい!
決して、儲けるためではないことをご理解いただきたいと心から願います。
そのためには歯科側でも
・患者さんの意思の確認
・ご家族へのご説明とご理解(入れ歯作成時のメリット、デメリットなど)
・訪問先担当者等への、しっかりとした説明(入れ歯作成時のメリット、デメリットなど)
上記をしっかりと実行していくことで、誤解をされることを無くし、
歯科として本当に重要なことに取り組んでいることが伝わっていくんだと思います。
また、
エリアマネージャー(AMG)のように、
訪問先やご家族とのパイプ役になれる職種の存在が重要になります。
関連:【歯科医院編】エリアマネージャー(AMG)とは(作成中)
口とは・・・ Dr.ハロルドワース
それではここで、
ニュージャージー大学の元教授で歯科医師のDr. ハロルドワースが口について謳った詩を
ご紹介します。
自然界では「歯」を失うことが「生死」にかかわることであり
お口の「価値」「重要性」が、すごく伝わってきます。
口は人間にとってすばらしいものだ。
それは人間の情緒においても、日々の生活にとっても、また人の美しさにとっても・・・。
口 ―― それは、
今まさに私が生きていることを表わしている。
もし動物が歯を失った時、その動物の死を意味する。
歯を失ったとき彼らは生き続けることが不可能であり、その生は終わりを告げ、
やがて彼らは死んでいく。
人間にとって、
口は会話を楽しみ、愛を語り、しあわせ、よろこび、怒り、 悲しみを表わす。
口は愛情の入り口であり、食べ物をとり、生き、そうして人間は栄えていく。
だからこそ、
口はどんな犠牲を払おうとも、十分な注意と管理を受けるだけの
価値を持っている。
Dr. ハロルドワース
よく見られる入れ歯の状態
では、よく見られる入れ歯の状態についてです。
もちろんご自身の歯ではないため、様々な問題が発生します。
・痛い
・すぐにはずれる、キツイ
・歯石が付着する
・口腔カンジダ症 真菌(しんきん):カビ
・入れ歯の誤飲(入れ歯を飲み込んでしまう、総入れ歯も飲み込めます)
・洗浄不足による汚れ
・傷が付いて細菌が増殖
などなど、あまりよくないことばかり出てきますが、
やはり「食べる」ことにおいては欠かせないものです。
汚れがひどいものでは、ゾッとするほど汚れていることがあり、
しかもその入れ歯がお口の中にある、しかもその状態が気になっていない・・・
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ご自身や、ご家族のお口の中にこのような入れ歯があることを想像してみてください。
高齢者施設のスタッフさん達も、お口の中は専門外ですし、人手不足で日々の業務が手一杯
のこともあり、やはり歯科が週に1度の口腔ケアをおこなうことが、
誤嚥性肺炎予防、窒息の予防にも繋がります。
2004年に日本歯科医学会から出された
「歯科訪問診療料における基本的な考え方」という指針より
「診療頻度は治療内容によって変化するが、安定した状態にある場合は、
通常、1週間1回程度であろう」とされている
入れ歯洗浄
入れ歯は、「入れ歯洗浄ブラシ」と「入れ歯専用泡洗浄剤」で、
しっかりと食べかすやヌメリが無くなるまでしっかりと磨き、
それから入れ歯洗浄剤に浸けておくのが正しいやり方です。
参考:入れ歯(義歯)のケア方法 (公財)ライオン歯科衛生研究所より引用
表 |
【具体的な方法】
◆入れ歯は外して、洗面所や洗面器に水を張り洗いましょう(落として割らないために)
◆入れ歯洗浄ブラシと入れ歯専用泡洗浄剤で、しっかりと食べかすやヌメリが無くなるまで
こすって取ります。
・歯磨き粉は使用しない:研磨剤が入っており入れ歯に傷が付く
・一般の歯ブラシより義歯洗浄ブラシが最適です
◆入れ歯洗浄剤(150mL程度のぬるま湯 約40℃)で、5分から一晩を目途に浸す。
・ポリデントの場合
・洗浄後は、入れ歯を水でよくすすぐ。
◆保管する場合は、水に浸して保管してください
・乾燥は、ひび割れや変形の原因となる
・60℃以上のお湯に浸すと変形することがあります
◆夜間については、かかりつけの歯医者さんに相談してください(様々な解釈があります)
・部分入れ歯だと、寝ている間に飲み込む可能性がある
・部分入れ歯を外していると、周りの歯が徐々に動いてくる
など
※注意:総入れ歯であっても、認知症が進んだりすると飲み込むことがあります!
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歯科が知らない現場の声
訪問先で歯科が知らない所で、施設職員さんや看護師さん、患者さんやご家族は
こんな会話をしています。
◆今まで入れ歯無しで食べてたのに何で!
◆作っても使わないじゃん!
◆やっぱりお金儲けじゃん!
◆痛いと言ってるし、全然合ってないし
◆本当は新しい義歯なんていらなかった(先生に薦められて断れず)
◆古い入れ歯の方がよく食べられる
などなど、こんなお言葉が訪問先で出ていることを、
多くの歯科医師の先生や歯科衛生士さんの耳には入らない、
知らずにいることが多々見受けられました。
なぜ知っているか?というと、
先出しのエリアマネージャー(AMG)職のように、パイプ役になれる職種を配置して、
医療従事者に言えない「生の声」を吸い上げていたからです。
一般職なので、皆さんが話しやすかったのと、
話しやすい雰囲気や状況を作って、傾聴していました。
先生に、「痛い、痛い」ばかり、言いにくいのが、「患者さん心理」であります。
ですが、何度もお伝えしますが、全く遠慮なさらずに言ってください。
関連:【歯科医院編】エリアマネージャー(AMG)とは(作成中)
まとめ
◆ 高齢者施設での一番の楽しみが「食事」
◆ 痛みや違和感があれば、遠慮なく何回でも歯医者さんに言う
◆ 入れ歯は、「食べる」だけのための物ではなく、様々な作用、効果がある
◆ 入れ歯は、「入れ歯洗浄ブラシ」と「入れ歯専用泡洗浄剤」で洗浄するのが最適
◆ 入れ歯は、新しく買ってきた靴や革靴なんかと一緒で、靴擦れなど慣らしていきます
入れ歯でも同じことが起きていて、慣らしていくことが大切です
◆ お元気な内に、今の状況にあった入れ歯を作ることをお薦めします
◆ 口とは・・・ Dr. ハロルドワース
◆ 歯磨き粉は使用しない:研磨剤が入っており入れ歯に傷が付く
◆ 一般の歯ブラシより義歯洗浄ブラシが最適
◆ 総入れ歯でも飲み込むことがある
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追伸
インプラントをされている方も、かなりたくさんいらっしゃいますが、今にわかに問題になっているのが、訪問歯科の先生や歯科衛生士さんで、インプラントをされている方のケアやメインテナンスが出来るのか?ということです。
外来診療で「自費診療」である「インプラント」をおこなっている歯科医院さんで、 なおかつ訪問歯科診療をされている歯科医院さんだと対応が可能で安心ですね。
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参考:入れ歯(義歯)のケア方法 (公財)ライオン歯科衛生研究所より引用