車いすで物静かな男性。
常にティッシュで唾液を拭っておられ、お部屋の外のゴミ箱に頻繁に捨てに行き、
お部屋のドアはしっかりと閉じられています。
お食事もお部屋で食べられるようで、食堂にもあまり来られないご様子。
お話することとも、発語が上手くできず
訪問に行き始めた当初、拒否も時々みられました。
ある日、施設長にお尋ねしました。
「Aさんってどんなタイプの方ですか? 唾液が止まらないのはご病気が原因でしょうか?」
とお聞きすると
「飴玉を相当食べられるのが原因じゃないでしょうかね?よだれ受けをつけてはどうか?や、
お部屋にゴミ箱を置いてはどうか?など、いろいろと提案したが全て必要ない」とのことでした
ゴミ箱をお部屋に置くのは、なぜ拒んだのかを確認すると、「臭うから」とのこと。
そして、唾液が絶え間なく出ることが「恥ずかしい」とAさんは思っているようです、と
教えてくださいました。
早速、
次回からお部屋のドアを閉めて外から見えないようにして、口腔ケアや嚥下リハをおこない、
極力お部屋に入るのは1人で入るようにすると、拒否が全くなくなりました。
お口を開けている時間を極力短くし、唾液が出ることは素晴らしいことで、
唾液が出ずに乾燥して困っている方が沢山いらっしゃることなど、
Aさんにとって良いであろうことを、沢山お話していきました。
よくよく診ていると、唾液とともに痰のような物も混ざっていることがわかりました。
過去に煙草をよく吸っておられたようで、「肺気腫」や「慢性気管支炎」のような症状でもあり、
呼吸器内科への受診も提案してみました。
その頃には嚥下リハの効果も出始めており、常に出していた唾液を飲み込めるようになって
きており、Aさんもおしゃべりがしやすくなったりと、会話が多くなっていました。
さらに嬉しいことに、担当の介護士さんが
「Aさん、かなり話してくれるようになり、唾液も飲み込めるようになっています」と
報告くださいました。
またまたさらに別の日に、来ていた担当のケアマネージャーさんからも
「えっ、めちゃくちゃ喋れていますね!驚いた!」と担当の介護士さんと話していたとお聞きし、
地道にコツコツとやることで、結果として表れてくるんですよね~、と皆で喜んでいました。
もちろん、お食事の際の誤嚥は見受けられていたわけではありませんが、
歯科医師や歯科衛生士の日頃の対応などもあり、思わぬところで嚥下リハによる飲み込むことへの
罪悪感?の様なものも、徐々に払拭されてきたようでした。
また、嚥下リハをご本人にや介護士さん達も、訪問歯科でない日でもできる範囲で
やっていただけたことも大きかったと思います。
・早い段階で施設長にいろいろとお聞きすることができた
・お聞きしたことをすぐに取り入れ、ケアに生かせた
・一生懸命に取り組んでいる歯科に、Aさんも心を開いていただけた?!
・恥ずかしくないことをお伝えし、徐々に払拭することができた
・Aさんの取り組む姿勢が良かった
今回は訪問チームの努力の賜物で、根気強く対応をし続けることができたことでしょう。
また、エリアマネージャーのナイスプレーで、早々に且つ的確に、施設長からヒアリング、傾聴し
深堀りしなくては知り得なかったことを訪問チームと共有したことも大きかったですね。
いかにAさんにやる気を出してもらい、訪問先の職員さん達にも頑張っていただき
ケアとリハを継続していくことが良かったのではないでしょうか。
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