第5話 唾液がとまらない・・・

想い出日記
2022/01/03 第5話 唾液がとまらない・・・

車いすで物静かな男性。
常にティッシュで唾液を拭っておられ、お部屋の外のゴミ箱に頻繁に捨てに行き、
お部屋のドアはしっかりと閉じられています。

お食事もお部屋で食べられるようで、食堂にもあまり来られないご様子。
お話することとも、発語が上手くできず
訪問に行き始めた当初、拒否も時々みられました。

ある日、施設長にお尋ねしました。
「Aさんってどんなタイプの方ですか? 唾液が止まらないのはご病気が原因でしょうか?」
とお聞きすると
「飴玉を相当食べられるのが原因じゃないでしょうかね?よだれ受けをつけてはどうか?や、
お部屋にゴミ箱を置いてはどうか?など、いろいろと提案したが全て必要ない」とのことでした

ゴミ箱をお部屋に置くのは、なぜ拒んだのかを確認すると、「臭うから」とのこと。
そして、唾液が絶え間なく出ることが「恥ずかしい」とAさんは思っているようです、と
教えてくださいました。

早速、
次回からお部屋のドアを閉めて外から見えないようにして、口腔ケアや嚥下リハをおこない、
極力お部屋に入るのは1人で入るようにすると、拒否が全くなくなりました。



お口を開けている時間を極力短くし、唾液が出ることは素晴らしいことで、
唾液が出ずに乾燥して困っている方が沢山いらっしゃることなど、
Aさんにとって良いであろうことを、沢山お話していきました。

よくよく診ていると、唾液とともに痰のような物も混ざっていることがわかりました。
過去に煙草をよく吸っておられたようで、「肺気腫」や「慢性気管支炎」のような症状でもあり、
呼吸器内科への受診も提案してみました。

その頃には嚥下リハの効果も出始めており、常に出していた唾液を飲み込めるようになって
きており、Aさんもおしゃべりがしやすくなったりと、会話が多くなっていました。

さらに嬉しいことに、担当の介護士さんが
「Aさん、かなり話してくれるようになり、唾液も飲み込めるようになっています」と
報告くださいました。

またまたさらに別の日に、来ていた担当のケアマネージャーさんからも
「えっ、めちゃくちゃ喋れていますね!驚いた!」と担当の介護士さんと話していたとお聞きし、
地道にコツコツとやることで、結果として表れてくるんですよね~、と皆で喜んでいました。

もちろん、お食事の際の誤嚥は見受けられていたわけではありませんが、
歯科医師や歯科衛生士の日頃の対応などもあり、思わぬところで嚥下リハによる飲み込むことへの
罪悪感?の様なものも、徐々に払拭されてきたようでした。

また、嚥下リハをご本人にや介護士さん達も、訪問歯科でない日でもできる範囲で
やっていただけたことも大きかったと思います。

このケースでのポイント

・早い段階で施設長にいろいろとお聞きすることができた

・お聞きしたことをすぐに取り入れ、ケアに生かせた

・一生懸命に取り組んでいる歯科に、Aさんも心を開いていただけた?!

・恥ずかしくないことをお伝えし、徐々に払拭することができた

・Aさんの取り組む姿勢が良かった

今回は訪問チームの努力の賜物で、根気強く対応をし続けることができたことでしょう。
また、エリアマネージャーのナイスプレーで、早々に且つ的確に、施設長からヒアリング、傾聴し
深堀りしなくては知り得なかったことを訪問チームと共有したことも大きかったですね。

いかにAさんにやる気を出してもらい、訪問先の職員さん達にも頑張っていただき
ケアとリハを継続していくことが良かったのではないでしょうか。

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