【歯科医院編】訪問歯科診療! その手法と考え方とちょっとしたコツ!
スタッフ研修といっても、なかなか難しいのが現状ですよね。
あまりやりすぎたり、強く言ったりして辞められてしまえば、元も子もありません。
また、いつ研修をすればいいの? スタッフが集まらない・・・など、悩みは様々。
院長先生自らが指導、研修する際には、言いにくい事もあれば、
誰かに代わって言ってもらえる方が、
スタッフも受け入れやすいこともあったりします・・・
そこで今回は、
訪問歯科スタッフにおこなってきた研修や勉強会などをお話しできればと思います。
目次
勉強会の種類
何を勉強すればよいのだろうか?
一方的に勉強させても・・・
何を勉強すればよいのだろうか?
一方的に勉強させても・・・
そうですね、スタッフさんが自ら勉強したくなる、学びたくなるような、
そんな勉強会の内容にしたいものですね。
では、どうすればよいか?というと、
スタッフさんが「勉強したい」「学びたい」「知りたい」
そんな「心の願望」にフォーカスを当てます。
逆に、興味がないスタッフさんへの指導や勉強会については、
別途お話しすることにしましょう。
訪問歯科のスタッフなので、
・口腔ケア
・摂食嚥下リハビリテーション
・嚥下内視鏡
・認知症について
・スキルや対応の仕方
・家族さん対応、訪問先対応
などなど、たくさん議題はありますので、悩んでしまいますよね。
勉強会を大きく種類別に分けますと
・院内研修
・外部講師研修
・学会参加
・歯科医院見学
・セミナー研修会
このような項目で勉強会を実施していました。
院内研修
まずは院内研修からお話していきますが、ここでも2つの種類に分別していました。
【スキルアップ勉強会】全体での勉強会として開催
歯科医師や歯科衛生士、事務方等が講師となり主にスキルアップを目的とした研修。
法人(医院)のやり方や考え方、理念や方針に全員がベクトルを合わせるためにおこない、
全員が同じベクトルを向き、同じ内容のスキルを持ち、同じ対応ができる!
と言っても、個人差はもちろんありますので、日々の訪問の中で指導していきます。
具体的には
・口腔ケア
・口唇のマッサージ、唾液腺マッサージ
・相互実習
・接遇マナー
・摂食嚥下関係
・対応力
・今後の展開報告(医院の方針や今後の展望など)
・訪問先や患者さん(ご家族)の想い(嫌なことや、してほしくないことの理解)
など、その他含め詳細にスタッフに指導していくことが重要です。
口腔ケアひとつとっても、
・口腔ケアの意義
・やり方(順番なども)
・口腔ケアの説明の仕方
・口腔ケアの効果
・歯ブラシ等の使用方法
・寝たきりの方やうがいの出来ない方の対応
・口が開かない方の対応
などなど、細かく何度も何度も繰り返し、指導していきます。
※上記はあくまでも一例であり、その都度出てきた案件を題材にあげておこないます。
・多くのスタッフが参加したくなるような企画
・強制参加にはしない
・楽しく和やかな雰囲気を
・発言しやすい環境
・お弁当の手配
・勉強会終了後の懇親会
関連:【歯科医院編】スキルアップ研修(作成中)
【フォローアップ勉強会】主に社員でおこなう
現場での疑問やスキルのフォロー、考え方や法人の方針の統一など。
具体的には、フォローを目的としているので、
・普段の訪問歯科診療での疑問点や問題点
・難しいケースのやり方
・上手くできたケース、上手くできなかったケースの共有
・成功事例の報告
・自身の症例発表
・症例検討会(ある症例を基に、皆で考え意見を出し合う)
・ロールプレイング
・法人(医院)の方針のすり込み
・法人(医院)からの通達や、今後の展開についての報告
各回、担当者を決めて司会進行なども含めて、自分たちで意欲的に開催できるようにします。
※上記はあくまでも一例であり、その都度出てきた案件を題材にあげておこないます。
・時間が取れる日を月に1回作る(第5週や土曜日など)
・社員の悩みが解消できる環境
・楽しく和やかな雰囲気を
・発言しやすい環境
・情報(症例や事例)を皆で共有する
・発表することで日々の訪問への向き合い方に変化が出る
・質問や司会進行役や、物事に対して深く考えられるようになる
法人(医院)全体の底上げ、レベルアップと、社員のレベルアップと思考を、
楽しく取得していくことを目的とし、また勉強会に参加したい!今度はいつですか?
などの様になるところへ持っていくようにします。
関連:【歯科医院編】フォローアップ研修 (作成中)
外部講師研修
では次に、外部講師による研修です。
これまでにおこなってきた外部講師研修の一例をあげます。
◆接遇・マナー研修(話し方、対応、考え方など、接客の研修)
・接遇は、何といっても重要ですので、ぜひ受けて欲しいですね。
今や歯科は「サービス業」と言われるほどです。
話し方や態度ひとつの不満が、長い年月を経て蓄積され、
歯科との契約を打ち切られることがたくさんあります。
また、接遇をしっかりとやっていれば、他の歯科医院との差別化にも繋がります!
◆介護研修(重要:車いすや介護ベッドの知識、やってはいけないことなど、基礎研修)
・介護研修もぜひ受けていただきたいです!
介護のことは未熟な歯科です。車いすを角に当てたり足を巻き込んだり、
ベッドのギャッジアップの際に、手足を挟んだりと、危険がいっぱいあります。
◆認知症研修(認知症の理解を深めることで、対応の仕方や考え方を身につける)
・基礎の基礎として、オレンジリングがもらえる認知症サポーター養成講座を
受講していただけます。(認知症サポーター)
さらに踏み込んで、認知症の講演をされている講師の先生をお招きしたり、
外部セミナーをぜひ受けていただきたいです。
全く知らない知識が学べ、確実に日々の訪問歯科診療に即、生かせることができます!
◆自己啓発研修(物事の考え方を学び、人間として、医療人としての共通の考え方や気持ちなど)
・人としての考え方を学ぶことで、ご自身のお子様やご両親、訪問の患者さんのことまで
幅広く生かせることができます。
・相手を思いやる気持ちや優しさ、辛抱強くなり、離職率も下がります。
なぜなら、「目的が変わると、人生が変わる」からです。
◆摂食嚥下(スペシャリストの先生をお招きし、摂食嚥下について学ぶ)
・摂食嚥下の基本中の基本だけでも知っていれば、訪問先での対応も変わってきますし、
訪問先からの「目」も変わります。
また、「ひと口量」「姿勢」「スピード」などへの知識を深めておくと、
訪問先での患者様の診る目にも違いがでます。
学会参加
◆摂食嚥下や認知症、口腔ケア等の学会に参加することで研鑽
・口演などの演者先生とご挨拶もでき、人脈が増えることでその先生の医院へ見学ができたり、
さらに幅が膨らんでいきます。
・口演の内容に共感できることや、同じ悩みを抱えていたり、すでに壁を乗り越えられて
いたりすると、詳しくお聴きできることが、成功への近道でもあります。
・最先端、最新の症例や情報、取り組むに出会えることで、成長することができ、
日々の診療にも即取り入れます
これまでに参加した学会
・日本顎咬合学会
・日本摂食嚥下リハビリテーション学会
・日本老年歯科医学会
・日本認知症ケア学会
・日本パーキンソン病・運動障害疾患学会
・リハビリテーション・ケア合同研究大会
・全国介護老人保健施設大会
など、目的や近場での開催に合わせるなど
歯科医院見学
◆他の歯科医院へ見学や勉強会に参加させてもらうことで、「気づき」や「学び」がある
・院長先生のお知り合いの先生や、スタディーグループの先生の医院などへ、
見学やお勉強をさせてもらいに行きます
・それぞれの特色やアイデアなど、外に出て初めて出会えるような発想や取り組みが
本当に新鮮で、思考を柔軟にすることもできますので貴重な時間となります。
・次は、自医院にも見学に来ていただいたり、親交を深めれば素敵なパートナーにもなり得ます。
これまでに、1都2府7県18か所に見学にお邪魔しました様々な医院を見学したり、
合同勉強会を開催できることは、非常に勉強になります
セミナー・研修会
◆その他、一般に開催しているセミナー等への参加
・歯科医師会でもセミナーをやっていますので、様々なセミナーを受講したり参加することで、
偏った目線でなく、広い視野が持て、その道の先駆者やスペシャリストの講義を聴くことで、
知見を広げ深めることができます。
・中身は、医院の方針に合った内容のものを選んで申し込むといいでしょう。
これまでに受講したセミナー&研修会
・歯科医師会主催セミナー
・社会福祉協議会主催セミナー
・介護関係事業者主催セミナー
・人材定着セミナー
・日本訪問歯科協会
・その他
スタッフ全員を参加させる場合や、
人選をして数名を代表で参加させ、後で院内勉強会で全スタッフにおろすなど
セミナーの内容や医院の目的に沿って、参加者を決めます。
その他
お伝えしてきたような大々的な研修もすごく大切ですが、
日々の診療の中での「ちょっとした小さな研修(学びの場)」も非常に重要です。
◆廊下でも、どこでも質問する(できる)環境
・ちょっとしたことを気軽に聞ける、聞きやすい状況がある
◆個別にいつでも相談できる環境
・上長は、いつ何時でも手を止めて耳を傾けられること
・どうしても少し待って欲しい時は、「3分待っててね」などように、具体的な時間を示す
◆誰もがスタッフ(仲間)に興味、関心を持てる環境
・特に新入社員が入社した時は、皆が「どう?」とか「なんでも聞いてね」のように
気をかける、気配りや思いやりを常に持っている
まとめ
・院内研修
・外部講師研修
・学会参加
・歯科医院見学
・セミナー、研修会参加
などがあり、医院の目的や方針にあった内容にする
最新の情報や考え方など、ハイレベルな場で研鑽することは、非常に意味があります。
様々な学びの場はありますが、医院での日々のミニ勉強会、立ち話しでOK!
先輩DrやDHが、快く話に耳を傾けてあげる環境を整備することも重要です。