「誤嚥性肺炎について」に出てきました「嚥下体操」についてお話いたします。
意外と知られていないかと思いますが、多くの介護施設等では食事の前に「嚥下体操」を
おこなっているかと思います。
また、ご家庭におかれましても、健康のために、「健康寿命延伸」のために、
日々の日課として取り入れてみてはいかがでしょうか。
関連:【患者様編】人生100年時代 健康寿命ってなに?(作成中)
目次
嚥下体操の種類
嚥下体操とは、飲み込むために必要な筋肉の体操です。
嚥下体操の手順(例)“藤島式”嚥下体操セット
① 深呼吸:鼻から吸って、ゆっくり口から吐く
② 首の体操:首を回す、首を倒すなどをして、首まわりをほぐす
③ 肩の体操:肩を上げ下げする、両手を上げて軽く背伸びをして、肩まわりをほぐす
④ 頬の体操:頬を膨らませたりすぼめたりして頬の筋肉をほぐす
⑤ 舌の体操:舌でお口の左右の端を触れたり、出したり引いたりして、舌を動かす
⑥ 喉への刺激:息が喉に当たるように強く吸って止め、3つ数えて吐く
⑦ 声出し体操:「パ」「タ」「カ」「ラ」をゆっくりと言う 飲み込む時のお口や舌の運動
・ハッキリと言う
・パパパパ、と連続で言う
・パタカラ、と続けて言う
⑧ 深呼吸:鼻から吸って、ゆっくり口から吐く
※咳払い(エヘンっ)をして、誤嚥したときに押し出す練習もしておくのも良いですね
リンク:社会福祉法人 聖隷福祉事業団浜松市リハビリテーション病院 “藤島式”嚥下体操セット(外部リンク)
関連:【患者様編】摂食嚥下リハビリテーションについて
その他では、
・早口言葉をいう
・お歌を唄う
・替え歌(パタカラ で) きらきら星、お馬の親子など、リズムに合わせて
・俳句(季語などを通じて、今の四季を感じられる)
・あいうべ体操(おもいっきりやることが重要です)
必ず主治医の先生に相談し、主治医の先生の指示のもと、訓練を始めてください。
嚥下5期について
嚥下について一連の流れを見てきました。
ここで、嚥下の仕組みについて簡単にお伝えします。
嚥下5期
先行期(認知期):食べ物の形や匂いなどを目で見て認識する
準備期(咀嚼期):食べ物を口に入れ咀嚼することで、唾液と混ぜ合わせ飲み込み安い形状
にする(食塊形成 しょっかいけいせい)
口腔期:飲み込みやすくした食べ物を、舌や頬を使ってのど(咽頭)へ送り込む
咽頭期:のど(咽頭)へ送り込んだ食べ物を「ゴックン」と飲み込み食道へ送る
食道期:食道の蠕動運動(ぜんどううんどう)と重力で、食べ物を胃へ送り込む
飲み込むためには、目で確認して咀嚼し、舌やお口周りの筋肉、首の筋肉などを使って食べ物を
飲み込み、食道へ送り込むまでの一連の動作になります。
嚥下5期のどの部分で障害が起きているのかが重要で、診断していきます。
必ず主治医の先生に相談し、主治医の先生の指示のもと、訓練を始めてください。
日常の嚥下体操
介護施設では嚥下体操をしているかと思いますが、
自身の経験では、特別養護老人ホームや介護老人保健施設では、必ずやってと思います。
一度、介護施設に入居されている方は確認してみては如何でしょうか。
誤嚥性肺炎を予防することは、ご本人にとってもご家族にとっても良いことで、
医療費軽減にも繋がります。
また、訪問歯科に来ている歯医者さんもやってくれていたりします。
昼食の前が多くなりますが、歯科衛生士さんがあれこれ考えて、小道具も作って、
入居者さんが楽し気に嚥下体操をやっている情景を見ると、ホッコリ癒されます!!!
もし訪問歯科に来てもらっていたら、やり方とかぜひ聞いてみてください。
注意:すべての訪問歯科の歯科医院が嚥下体操をやっているとは限りません
まとめ
嚥下体操についてのまとめです。
・お食事の前に嚥下体操をする
・パタカラなど、飲み込むための準備運動をする
・咳払い(エッヘン)も重要
・食べるための一連の動作(嚥下5期)
・誤嚥性肺炎予防で医療費削減にも繋がる
・訪問の歯医者さんも嚥下体操をやっているかも
普段から飲み込むための筋肉などのトレーニングをすることで、
より永くご自身のお口でお食事をすることが可能になります。
ぜひ今からチャレンジしてみてください。
必ず主治医の先生に相談し、主治医の先生の指示のもと、訓練を始めてください。