【患者様編】”訪問歯科診療” 今後の人生をより良く過ごすために
目次
誤嚥性肺炎について
最近、テレビなどでもよく聞くようになった「誤嚥性肺炎」
芸能人の訃報報道の際に、「誤嚥性肺炎のため〇〇歳で死去」、などの様に報道され、
時折、誤嚥性肺炎の特番なども放送されて、よく耳にする機会が増えたことでしょう。
大切なご家族で食事の際に「ゴホゴホ」とムセているのを目にしたら、
「誤嚥」しているのかな?と疑ってみてください。
若い方でも「誤嚥」は時折していますが、体力や免疫力があって、
ムセることで「誤嚥したもの」を排出することができるのですが、そうではない高齢者では、
ムセて誤嚥したものを吐き出す力が弱くなっていたり、誤嚥してもムセることができないほど
症状が進んでいたり、またお口の中や入れ歯が汚れていてより多くの細菌を食べ物や飲み物と一緒
に誤嚥してしまい、頻繁に熱を出していたり、肺炎になってしまう方が多く見られます。
こんな時は要注意
こんな症状に気付いたら、すぐに専門家に診てもらいましょう!
・食べ物や飲み物を飲み込んだ時に、頻繁にムセたり咳が出る
・口の中に食べ物を溜めこんで、なかなか飲み込めない
・食事に時間がかかり最後まで食べきれない、疲れてしまう
・唾液が飲み込めず口から出してしまう(ヨダレが出る)
・痰が多く喉がゴロゴロする
・よく熱を出す
・気管支炎、肺炎の既往がある
・食後に疲れてしまう
・発声が不明瞭
ムセるということは、食べ物や飲み物が何らかの原因で誤って気管に入ってしまい、
誤って入ってしまった食べ物などを外へ出そうとムセたり咳をすることです。
お口の中が汚れていると
その時に食べ物や飲み物と一緒にお口の中の細菌が気管に入ってしまいます。
また、そのようにお食事の時によくムセている方は、
睡眠中、無意識のに「自分の唾液」を知らず知らずのうちに誤嚥していることもよくあります。
不顕性誤嚥(サイレントアスピレーション)
お口の中の細菌が唾液と一緒に気管に入り、肺で炎症を起こして「肺炎」となります。
これを「誤嚥性肺炎」といいます。
さらに注意が必要なのは、食べ物や飲み物が気管に入ってもムセない、
咳き込まない方がいらっしゃり、誤嚥していることに気付きにくいケースがあります。
「熱がよく出る」「ムセる(咳)」などの症状がある方などは、
一度専門家に相談してみましょう!
歯医者さんでも、嚥下内視鏡を持っている歯科医院さんだと、検査もしてくれます。
誤嚥性肺炎の予防
では、誤嚥性肺炎にならないためには何をすればよいでしょうか。
まずは、お口の中のお掃除。お口を清潔にキレイにします。
お口をキレイにすることで、誤って誤嚥しても一緒に入っていく細菌を減らします。
さらに、飲み込む筋肉も衰えてきますので、飲み込む筋肉のトレーニングや、
唾液も非常に重要ですので、唾液を出すマッサージ(唾液腺マッサージ)なども
取り入れていきます。
入れ歯の方は、意外と汚れている方が大勢いらっしゃいます。
施設では口腔ケアに力を入れている施設もありますが、
いま社会問題にもなっている「介護職員不足」のため、
なかなかお口のことまで手が回っていないのが現状のようです。
訪問歯科で週に1度来てもらい、お口の中をキレイにしてもらい、ご家族が面会に来た時には、
入れ歯を洗ってあげたり、口腔ケアをしてあげれば、汚れた状態が少なくなっていきますよね。
口腔ケアのやり方などは、訪問に来てもらっている歯医者さんや歯科衛生士さんに聞けば、
優しく丁寧に教えてくれますよ。
誤嚥性肺炎、誤嚥、などと言われたら
「誤嚥性肺炎」や「誤嚥しています」と言われたら、いくつかの注意が必要になります。
【食事形態の見直し】
・常食(普段食べている普通の食事)では、なかなか難しくなってくると、ひと口大に切ったり、
食べ物を細かく刻んだり、お茶やお味噌汁などにはとろみをつけたり、もっと症状が進むと
ミキサーにかけてドロドロにしたものなど、様々な形態の食事に変化していきます。
※嚥下内視鏡検査をすると、実際に飲み込めているのか、食事形態は合っているのかなど、
確認することができます。
関連:【患者様編】嚥下内視鏡(VE)について
【食べる量、スピード、姿勢】
・誤嚥をしている理由は様々ですが、早食いや一度にお口に入れる量、食事時の姿勢など、
ちょっと工夫すると、より食べやすくなったり、誤嚥をしづらくなりますので、
治医の先生はもちろんですが、言語聴覚士さんや歯科医師、歯科衛生士さんに診てもらうと
いいでしょう。
【食べる姿勢】
・あごが上がっていたり、逆に下がりすぎていたりすると飲み込むことも難しいです。
また、麻痺がある方では、麻痺していない側で飲み込めるようにすることや、
寝たきりの方では介護ベッドのリクライニングの調整が必要であったり、
様々な「コツ」のようなものがあります。
【摂食嚥下リハビリテーション】
・食べるために必要な筋力などの訓練をします。
様々な訓練がありますので、次章でお伝えします。
必ず主治医の先生に相談し、主治医の先生の指示のもと、訓練を始めてください。
嚥下訓練(リハビリテーション)
嚥下訓練は危険もともないますので、まずは必ず専門家に相談してから、体調や嚥下障害の程度を見極め、訓練の仕方を教わって、一緒に取り組んでください。
嚥下障害になると、食事を取ることで「誤嚥性肺炎」になってしまいますので、
飲み込むための訓練が必要になります。
・基礎訓練
・摂食訓練
・嚥下体操(食事前の)
などなど、詳しくは下記 関連 をご参考ください
関連:【患者様編】摂食嚥下リハビリテーションについて
関連:【患者様編】嚥下体操って?!
食事の前の嚥下体操
嚥下障害で誤嚥をしてしまう際は、お食事の前に「嚥下体操」をおこなうことが良いとされています。
パタカラ体操、あいうべ体操、早口言葉、お口回りの筋肉の運動など、
ひ体操をしてお食事を摂っていただければと思います。
お口まわりの筋肉を動かしたり、発声することで、飲み込む時に必要な機能の筋肉を動かし、
お食事をする準備、飲み込む準備をおこなうことが大切です。
詳しくは、下記のリンクをご参考ください
リンク:社会福祉法人 聖隷福祉事業団浜松市リハビリテーション病院 “藤島式”嚥下体操セット(外部リンク)
関連:【患者様編】嚥下体操って?!
まとめ
誤嚥性肺炎についてのまとめです。
・お口の中をキレイにする(口腔ケア)
・入れ歯をきれいにする
・お食事前の嚥下体操
・食事の時に、ムセたり咳き込んだりする
・よく熱を出す
・寝ているときも「誤嚥」している
・様々な嚥下訓練(必ず専門家に相談してください)
・食事形態、食べる量や速さ、食事の時の姿勢
食事の時に、ムセる、咳き込む、熱がよく出る、こんな症状の方がお近くにいらっしゃれば、
専門家の先生に受診をお薦めしてください。
最後に
記載した内容の全てということではなく、
初期段階で、もしくはすでに嚥下障害になっている方々に、気付いていただければとの想いです。
全ての歯科医院が対応できるわけではありませんので、
作者が、見て、体験して、感じたことをご紹介したものですので
どうか取捨選択の程、よろしくお願いいたします。
訪問歯科医院選びの「参考」になればと思います。
正確な情報や診療内容については、専門職である歯科医院のサイトにてご確認
くださいますようお願いいたします。